緊縛ショー・喜多道場1

緊縛ショー・喜多征一『逝かせ縄LIVE』を見てきた!


2021年11月21日(日)、緊縛師・喜多征一さんによる『逝かせ縄LIVE』を見てきた。

 

縄の「縛り手」と「受け手」が居てはじめて成り立つ、いわゆる「緊縛ショー」のことだが、「逝かせ縄」とは相手をただ拘束するだけでない。これは、喜多征一という緊縛師にしかできない、唯一無二の妙技である。

緊縛ショー・喜多道場1

わたし自身、喜多道場(緊縛教室)で縄の受け手として日々体感しているのだが、① 安全に拘束する方法を学んでいる のと、② 「逝かせ縄」を学んでいる のとでは、受ける刺激がまったく違う。なお、道場では生徒の皆さんがご自身の目的(なぜ緊縛を習うのか?)をはっきり持ち、それぞれの実力にあわせて習得コースを自由に選択することができる。

 

いろいろと掘り下げたいテーマはあるのだが、当記事では、わたしが見た緊縛ショー『逝かせ縄LIVE』の魅力をお伝えしたい。

 

緊縛は最高のオートクチュールである。

 

喜多征一さんの『逝かせ縄LIVE』をはじめて観るにあたり自分がもっとも意識したのは、先生ご本人と談話していたとき「緊縛は最高のオートクチュールだよ」と教えていただいたことだ。

 

どういうことなんだろう……? 意味がスッと馴染むようで本質的には飲み込めない。実際見てみないと分からないだろうとおもい、考え、感じながら愉しむことにした。

 

そして、ショーの開催前に伺ってとてもびっくりしたのが、次の5点である。

☑ ライブ当日(ほぼ直前)までモデル(受け手)の衣装を知らない
☑ モデルの衣装やそのときの様子によってご自身の服装を決める
☑ 縛りかたや道筋・構図などを事前に考えておくことはしない
☑ 染め縄の色を多数準備しておき、全体のデザインをみて合わせる
☑ モデルの格好に特別な制限は設けておらず、好きな衣装を着てよい

 

正直、「はじめから全部ある程度の見通しが立っているんじゃないか?」とおもっていた。けれど、まったくの逆だった。何がきてもいいように準備されている、というかんじだ。喜多先生にいくつか尋ねてみたら、こんな答えが返ってきた。

 

「縄で縛るんだから、多少やりにくい恰好ってのはあるよ。でも、こっちはなにも言わないし、みーんな好きなものを身にまとってくる。彼女たちを含めて、僕のところに縛られにくる人に共通しているのはふだんの美意識が高いところ。手入れをおざなりにしない。きれいな姿で縛ってほしいとおもっているし、その姿を写真におさめたいともおもっているわけだから、本番当日まで自分の身体をじゅうぶん磨き上げてくるんだよ」

 

確かに、喜多征一さんによる緊縛ショー『逝かせ縄LIVE』のステージでは、「これが今のサイコーの私です!」と言わんばかりにモデルたち(受け手)が堂々とあらわれる。観客席で成り行きを見守り、すべての目撃者となる身としては、開幕の彼女たちの姿や様子がどうだったかを覚えておくのがミソかもしれない。

※緊縛師・喜多征一さんを知るにあたり読んでほしいおすすめ記事はこちら。

 

「縛り」から更なるフェチを見つけられる?

 

緊縛ショー『逝かせ縄LIVE』@東京・四ツ谷の受け手(モデル)は、4名。

 

一番手の「めい」さんは、黒いワンピース型のランジェリー。黒髪のゆるふわロング。やや厚めの黒い布で目隠しをして、視界を遮断していた。目をひらいても、まっくらだろう。自力ではもう何も見えない。どこから何をされるか察しがつかない状態だが、みずからその姿を選んでいる。驚いたのは、顔が半分隠れて表情が読みにくくなっているのに、縄を縛るときの緩急でぐっとかんじているのがよくわかった、ということだ。

 

先生の衣装は、白の上下。染め縄は、赤色を選んだ。

 

二番手の「あきら」さんは、白くて光沢のあるワンピース型のランジェリー。茶髪のショート。天井からぶら下がっている竹に身体を吊り上げられるとき、おもわず彼女のつま先を見た。もうほとんど床にはついておらず、やっとのところで持ちこたえている。いたましい姿のはずだが、わたしにはとても美しく見えた。まるで泣いているかのようなあえぎ声。でも、耳にしているとなぜか心地よい……。何かを抱え込んでいたのか、痛みと苦しさで涙することで自分を解放しているようだった。

 

先生の衣装は、黒の上下。染め縄は、深い抹茶色を選んだ。あきらさんのヘアカラーと似ているようにおもえた。

 

三番手の「おまんちゃん」は、赤い着物に黒い袴(はかま)。インナーカラーの利いた長い黒髪。黒いストッキングにガーターベルトを着用という、誰かの性癖に刺さりそうなコスチュームだ。彼女は常に「うっとり」とも「うつろな」ともとれる表情で空(くう)を見ていた。耐え切れずに目をつむったときは、よほどかんじているのだろうな、とおもえてくる。そして、かるい吐息はこぼすが、なかなかあえがない。それが妙にいとおしく見えた。Twitterでも分かるがふだんはかなりお茶目で、こんなふうに乱れるとはおもえない……。

 

先生の衣装は、紺の上下。染め縄は、紫色を選んだ。

 

四番手の「結心(ゆい)」さんは、すけすけシースルーな深緑のランジェリー。今回もっとも喜多先生に愛される(縄やムチをあじわう)時間の長かった受け手かもしれない。「いやだ……!いやだ……っ!」と泣きじゃくるし、首も横に振っているのだが、じっくり観察していると言葉通りの本心ではないのがわかる。縛り手による一方通行な行為ではなく、お互い全身で通い合っているかんじなのだ。どの受け手人のときもそうだが、さいごはほんとうに安らかな顔になる。

 

先生の衣装は、刺繍の施された白い上下。染め縄は、朱色と深緑の二色染めを選んだ。

 

緊縛ショー・喜多道場2

一人ひとりが刻一刻と表情をかえていき、どこかで絶頂を迎える。その瞬間をじっと覗き込むような心境で見てしまう。こんなにオープンなのに、こんなに秘められたものってあるんだ……。と、複雑なきもち。

 

あくまで個人的な感想になるが、「緊縛は最高のオートクチュールである」という言葉が、なんとなくだけれど すこしだけ分かったような気がした。

 

また、緊縛行為そのものがフェティシズムの一種であるとおもうが、そのなかでも声、足、わき、腕、お尻、肌、衣装などさまさまなポイントにズームアップして観察することで、自分が持つ「好み」の深さや広がりに気づくのではないかとかんじた。

 

……なので、少しでも興味を持たれた方、わたしと一緒に観に行っちゃいませんか??

 

喜多道場では、名古屋と五反田(東京)に教室があり、毎月交互に緊縛ショーこと『逝かせ縄LIVE』を開催している。次は、12月26日(日)。詳細は、公式Twitterから確認すると分かりやすい。

関連WEBサイトURL:

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